サカリPの小話!『ファントムブレイカー:オムニア』~第2回~

サカリPの小話!『ファントムブレイカー:オムニア』~第2回~

2020.12.17
Phantom BreakerFeatured

2021年発売の『ファントムブレイカー:オムニア』について、MAGES. 5pb.gamesのサカリPに語っていただきました!
今回はどんなお話でしょうか?!

 はじめましての方、はじめまして。そうでない方、こんにちは。約1か月ぶりの『ファントムブレイカー:オムニア』開発プロデューサー兼ディレクター、サカリPです。
今回はストーリーについてお話をします。この段階で長文になる予感がしていますので、お時間があるときにでも読んでいただければと思います。

『ファントムブレイカー』は元々、ある会社さんからMAGES.へ持ち込まれた外部からの企画でした。当時の自分は『バレットソウル』という自分の企画を進めようとしていたのですが、MAGES.社内で格闘ゲームを開発した経験がある人間が他にいなかったため、『ファントムブレイカー』のプロデューサーも兼任することになりました。
 この時は、言い方は悪いですが、単にお飾り的なプロデューサーとして存在しているだけで、企画を持ち込んだ会社さんにディレクションさせておけばいけるかなぁくらいの認識でいたのです。

 ところが半年から1年ほど経過してからでしょうか、突然、ある事件が起こります。
『ファントムブレイカー』の正式発表前、匿名掲示板に、設定書の画像と共に情報がリークされたのです。また、この頃スケジュールの遅れも目立ってきていた為、思いきって開発体制を一新することになりました。

 まず、ストーリーもキャラの名前も設定も、一部を残し、自分が中心になって作り直すことになりました。ゲームの内容に関してもプログラムを担当していた会社さんと直接やり取りをさせてもらうようになったのも、この頃です。
 この衝撃的な事件によって、より深く『ファントムブレイカー』に接するようになったワケですが、でも本当にリークは良くないです。これ以降、特に『ファントムブレイカー』に関しては、軽い気持ちで昔話をされるのですら、勝手に警戒心を持ってしまいますし、それは、この事件に原因があると思っています。

 完全に余談ではありますが、その昔、Steamでゲームを購入したときに「開発中」と表示される翻訳ミスを話題にしているのを見かけ、「この人は実は開発者なのか? なんだったらリークした人か!?」と無関係の人に疑いの目を向けてしまったことは恥ずかしい思い出です。
 冷静ならすぐ分かるようなことなのに、疑心暗鬼になるくらいに思い詰めていたもので……。当事者さまには申し訳ありませんでした。

 ということで、いよいよストーリーの話に入っていきます。
前段で述べた通り、設定やストーリーを変更することになったのですが、さすがにコンセプトや全体に漂う雰囲気、出来上がっているパーツ、進んでしまっている作業までやり直すことにはできません。
 そこで、既に出来ているパーツと新しい設定をジグソーパズルのように組み合わせての再構成となります。ついでに、それまではふんわりとしていたバージョンアップ版や続編を作る場合の繋がり、伏線も混ぜ込みながら作っていきました。結果として、大きく4つに分かれた縦軸の話が出来上がりました。

 それでいうと『ファントムブレイカー』は第一部となり、『ファントムブレイカー:エクストラ』は一応、第二部となります。
 第一部は格闘ゲームの特性上、また、1作目で終わってしまうことも念頭に入れ、キャラクターごとのマルチエンディングとしました。(かつマルチエンディングも並行世界が存在する設定にしたことで、全てのエンディングが永続的なものになる可能性を残すようにしています)
 第二部以降は、公式的に正史とされるエンディング(美琴エンディング)からの流れの物語にしました。そして『ファントムブレイカー:バトルグラウンド』は、第一部におけるマルチエンディングの中からの派生となる横軸の物語です。

 先ほど『ファントムブレイカー:エクストラ』は、一応、第二部と書きましたが、『ファントムブレイカー:エクストラ』には「ストーリーモード」がなく、代わりに「シチュエーションバトルモード」というモードが入っています。
これは、お題目に沿ったチャレンジをクリアすることで、先に進めるシステムです。
 そこでは、新キャラクターであるソフィアたちが登場する1エピソードが描かれる、新キャラクター紹介のような内容となっています。そのため、第二部のストーリーの全てを網羅しているものではありません。
 そして今回の『ファントムブレイカー:オムニア』では第三部に登場する予定だったキャラクターが先行する形で参戦します。

 このようにストーリーが停滞したままキャラクターのみ登場していく状態が決して良い状態とは思っておりません。きっかけや経緯は色々あったものの、もはや自分にとってに愛着のある物語です。第一回の小話でもお話しているように、いい形で皆さまにお届けできるよう考えています。

 最後にひとつ。
ストーリーにも関係のある、個人的なお話をすることにしましょう。

 ロケパンと、『ファントムブレイカー』の再始動を喜んでくれる皆さまのおかげで、『ファントムブレイカー』は止まっていた時間を再び動かすことができました。
これには、心からとても感謝していますし、とても喜んでいます。
しかし、同時にストーリーを進めていくことに迷い続けている自分もいるのです。

 『ファントムブレイカー』シリーズには九紋 稚というキャラクターがおり、松来未祐ちゃんという声優が演じてくれています。
未祐ちゃんとの初仕事は、自分が原作の『ミッシングブルー(MissingBlue)』というゲームのヒロイン役だったので、もう20年以上前になります。
それからいくつものタイトルに出演してもらいました。
そして彼女が演じるキャラクターのセリフは、いつもアテガキ(※)でした。

 『ファントムブレイカー』も『ミッシングブルー』も、そして他の作品も、根本的にはキャラクターの成長劇であり、その中で、使命に忠実に、時には自らを犠牲にしてでも、成長しようとするキャラクターたちを見守ってサポートする役どころを未祐ちゃんにお願いしてきたのです。
そして彼女は、素敵な演技で、そのキャラクターたちに命を吹き込んでくれました。

 もうご存じかと思いますが、
そんな未祐ちゃんが2015年10月に亡くなりました。もう5年も経つんですね。
まさか今になって『ファントムブレイカー』の未来について、そして稚の代役について考えることになるとは夢にも思っておらず、オムニアプロジェクトが立ち上がり、開発が進行している今でも、ただただ混乱して、迷ったままです

 結局、上記の理由もあって『ファントムブレイカー:オムニア』には新規収録の音声はありません。新録できませんでした。
今作の稚は、生前の未祐ちゃんが演じた最期の稚になります。
どうか彼女の声を忘れないでいてください。
そして、新しい稚も同じように愛していただけるよう願っています。

 その前に、自分も『ファントムブレイカー』同様、止まった時間を動かさないといけないのですが……。

 今回はここまでになります。 ご機嫌よう。

“サカリPの小話!『ファントムブレイカー:オムニア』”では、裏話や実は…な話などを不定期にご紹介していきます。
次回の更新をお楽しみに!

※当て書き;演劇や映画などで、その役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと

Phantom Breaker: Omnia

2013年にMAGES.から発売された美少女対戦格闘ゲーム『ファントムブレイカー:エクストラ』を大型アップデートした最新作です。本作には『シュタインズ・ゲート』の牧瀬 紅莉栖、『カオスヘッド』の咲畑 梨深のゲストキャラクター2名に加え、今作のために制作された新キャラクターも2名登場します。
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